立体把握について考えよう!
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萌え絵の基礎
絵を描くときに最も意識するべきもの、それが「立体把握」です。
立体把握ができている上級者は別として、初心者中級者は立体を考えながら描くことがイラスト上達の要になります。
となるとすぐにでも立体把握できるようになりたいですが、まずは何から取り組めばよいのか考えてみましょう。
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●最重要は立体把握
イラストを描く上で最も重要なのが立体把握です。
立体把握の前には、人体構造やパースなどの知識はさほど重要ではありません。
人体構造の知識は立体把握を補助するものですし、パースは立体把握をより高度にするためのものです。
つまり立体把握ができていないと、人体構造の知識を身につけても、パースの知識を身につけてもあまり意味はないということです。
そのため、イラストが上手くなりたいならまず先に考えるべきは立体把握であり、立体把握できることが第一の目標となります。
●立体把握にはレベルがある
ただ一口に立体把握といっても、その意味の範囲は広いです。
初心者の立体把握と上級者の立体把握は全く違うものだと思います。
その絵描きの実力によって立体把握の内容も変わるはずです。
ここでは、その立体把握の上達過程を次の3つのレベルに分けてみました。
レベル1 「立体的に観察できる」
レベル2 「立体的に模写できる」
レベル3 「見ないで描ける」
かなり大雑把な分け方ですが、こんな感じです。
立体的に観察できなければ、立体的に描くことはできません。
また立体的に似せて描けなければ、見ないで描くことは不可能でしょう。
今自分のレベルがどのくらいか考えてみてください。
今がレベル1だと思うなら、目指すべきはレベル2です。
今がレベル2だと思うなら、目指すべきはレベル3です。
レベル1ですらできてないと思うなら、目指すべきはレベル1です。
●レベル1「立体的に観察できる」
立体把握を身につける上で一番最初に目指すべきは「立体的に観察すること」です。
立体的に観察できなければ立体的に描くことはできません。
そのため絵を始めたばかりの初心者は、まずは立体的に観察できることから取り組みましょう。
イラストを観察するときはついつい線ばかり見てしまいます。
しかし本当に重要なのは線と線で囲まれた空間です。
「立体的な観察」とはその空間がどのような立体になっているのか読み取ることです。
具体的には線と線で囲まれた空間の中に、「3Dのワイヤーフレーム」を想像するような感じです。
過去記事立体感覚を身につけるための練習法や人体を輪切りにして考えよう!で似たようなことを紹介しているので、ぜひ目を通してみてください。
立体的に観察することは、イラストを描く上での必須技能です。
これが身につかないと上達は頭打ちになってしまいます。
●レベル2「立体的に模写できる」
立体的に観察したら次は立体的に描く番です。
しかしお手本もなしに見ないで描くと、間違った立体を把握してしまう可能性があるので、必ずお手本を見て描きます。
基本的に模写の目的はインプットのためです。
そして「立体的に模写する」とは立体そのものをインプットすることです。
「立体的な観察」をしたら、その観察した立体を再現するように模写してください。
このとき注意することは3つ。
1つ目は、観察するものは「空間内の立体」ですが、実際に描くのは「その空間を囲む線」であることです。
線を引くときはどうしても線のほうに意識が行ってしまいます。
しかしなんとか我慢して空間内の立体を思い出しながら線を引いてください。
2つ目は、見えているところだけに意識を向けるのではなく、見えていないところまで意識を向けてください。
頭でも胴体でも腕でもなんでも半透明のものに置き換えれば、想像しやすいはずです。
ぐるっと回りこんだ裏側はどんな感じか考えてから描きましょう。
3つ目は、正面や斜めの向きの構図ばかりを描くのではなく、真横とか真裏とか俯瞰アオリなどの構図にも挑戦してください。
いろんな構図を描いたほうが立体把握はしやすくなります。
これら注意点は全て立体をインプットするために行うことです。
立体的なインプットがどの程度できているか確認しながら模写を続けていきましょう。
●レベル3「見ないで描ける」
立体把握も突き詰めると見ないで描けるようになります。
ひたすら立体的に観察し、ひたすら立体を考えながら模写していると、次第に頭の中で立体をイメージできるようになります。
そしてそのイメージは資料として活用できます。
例えれば、頭の中に3Dモデルのようなものがイメージできて、自由に動かせる感じです。
このとき人体構造の知識があるとイメージを補強することができます。
たしかに人体構造の知識がなくてもたくさん描けば立体把握はできると思います。
しかしあったほうが絶対イメージしやすいです。
そのため個人的には人体構造について学ぶことをおすすめします。
仮にイメージできないよ、という方はそもそも立体的なインプットが足りてません。
また人体構造の知識も足りてません。
そんな簡単にできるようなものではないので、気を長く持ってじっくり取り組んでください。
●最後に
今回は立体把握だけに対象を絞ってお伝えしました。
立体把握だけで魅力的なイラストが描けるのか?というと答えはノーですが、それでも描きたいものを描く土台として立体把握は最重要だと思います。
何が魅力的なイラストなのかは、おのおのが自分の力で見つけ出すしかないですしね。
とりあえずは立体把握を身につけてください。
初心者中級者は立体把握こそがイラスト上達の要になります。
大変そうに思われるかもしれません。
しかしひとつレベルが上がるたびに、イラストが上達した実感を得られると思いますよ。
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