シングルマザーの私は、47歳の女性で自営業をしています。北海道のなかでも、特に田舎に住んでいる私にとって、異性と自然に出会うというのは、かなり難しいことです。以前は、結婚相談所に登録していたのですが、なかなかいい人と出会えなかったので、24時間いつでも探せるマッチングアプリに変えたんです。
想像以上に男性が多くて、これなら私にもチャンスがあるかなと思いました。
ですが、いくら異性が多くても、理想の男性というとかなり難しかったです。北海道といっても、私はどちらかというと南の方に住んでるんです。なので、それ以外の人とはなかなか発展しませんでした。
マッチングアプリに登録したばかりの頃に、ある素敵な男性と出会ったんです。趣味も盛り上がって、このままいい感じに行くかなと思ったら、なんと正反対の道東に住んでいる人で、そのことを知った相手も断ってきました。
まさか、同じ北海道なのに断られるなんて思ってもいませんでした。
それからというもの、まずは北海道のどの地域に住んでいるのかを聞いてから、メッセージのやり取りをするようにしています。
そこで、知り合ったのが道南に住んでいる男性です。その人は、元々の出身地は東京だそうですが、ずっと北海道に憧れを持っていて、30代の頃にやって来たそうです。現在は教師をしていて、気ままな独身ライフを楽しんでいるとのことです。
彼とは、同じ40代後半ということもあり、懐かしいドラマやアニメの話題で盛り上がりました。
実際に会ってみても、印象は変わらず、まるで以前から知っていたように話が弾みました。
私が1人っ子だと話すと、将来は親の介護を手伝いたいとまで言ってくれて、もうこれは間違いないと確信を得たんです。
私の両親や親戚にも紹介して、後は籍を入れるだけまで来たんです。
正直、私はかなり焦っていました。
結婚適齢期なんてとっくに過ぎた私にとって、彼を逃したら、もう相手がいないかもしれないと思ったんです。そのため、私は心のどこかで彼の機嫌を損ねてはいけないという気持ちが働いていたんです。彼の行きたいところを優先したり、彼が会いたいといえば、多少の無理をしても会いに行きました。
私の両親にもよくしてくれる彼なら、将来的にケンカもないだろうと考えていたんです。
でも、その考えが甘かったことを私は知ることになったのです。
彼が、自分の両親を北海道に連れてきました。両家の顔合わせで、彼の父親からまさかの発言があったんです。
「いつ東京の方に来るの?」
にこやかに聞かれて、私は固まりました。慌てて彼に真相を聞くと、彼もケロッとして「東京に帰る」と言うんです。
だって、彼は3人兄弟の末っ子で、ご両親は長男と一緒に住んでいるというんです。私は1人っ子。どう考えても、私は北海道を離れられません。
彼だって、介護を手伝ってくれると言ったんです。なのに、結婚したら東京に帰るなんてどういうことかと思いました。すると、彼はまるでそれが当たり前のように、「結婚したら俺の実家の近くに住むだろ?」というのです。
私は、改めて婚活の難しさを感じました。もし、今の私が20代なら迷わず東京に行ったでしょう。でも、40代の後半となり、両親も70代です。ここで、彼について東京に行く勇気はありませんでした。おまけに、私が彼のご機嫌とりをしていたせいか、彼は何でも自分の意見は通ると思い始めたんです。
ある日。いきなり教師を辞めたいと言い出したんです。何をするのかと聞いたら、日本のあちこちを放浪したいと言うんです。おまけに、私には両親を頼むって。もう、こんな非常識な人とは思いませんでした。
私が、結婚は遊びではない。ちゃんと将来のことを考えてと言うと、彼は不満そうでした。
そのため、結婚については保留となりました。
マッチングアプリで知り合ったからといって、まるで運命の恋のようにスピード結婚には至らないのだということを、身をもって知りました。
でも、彼といると楽しいですし、自分の嫌なところも受け入れられるようになりました。彼と出会えたこと自体は、とても良かったと思っています。
もし、マッチングアプリを使わなかったら、彼と知り合うこともなかったでしょう。
でも、きっかけはどんな形であり、その後は普通の恋愛と何ら変わらないのだということを改めて思いました。
最近では、彼もやっと自分と私の立場を冷静に考えてくれるようになり、北海道にずっと住んでもいいと言ってくれるようになりました。
大切なのは、焦らないことです。
どんな出会い方にしても、それは単なるきっかけに過ぎないのです。
まずは、相手と目指す方向が同じかどうかを話すことが必要なんです。
私も、最初に言えばよかったんです。
1人っ子の私にとっては、結婚後に両親の面倒を見るというのは、もう決まったも同然のことなのです。
最初から言えば、もっと彼とも早く将来について話し合えたのではないかと考えています。